「安さ」が店を滅ぼす。
経営者が知るべき、後悔しない「値決め」の教科書

「この価格にしたら、お客さんが離れてしまうのではないか」
メニューの右側に数字を書き込むとき、多くのシェフがこの「恐怖」に直面します。しかし、値決めは単なる算数ではなく、店の未来を決める「経営の意思」です。

「原価が上がったから、仕方なく30円上げる」といった消去法の値決めは、ブランドを少しずつ疲弊させます。今回は、料理人が陥りがちな原価3割の呪縛を解き、適正な利益を残すための思考法を整理します。

「原価の3倍」という思考停止

多くの飲食店で、根強く信じられている「原価率は30%に収めるべき」という教え。しかし、現代の複雑なコスト構造において、このルールを全メニューに適用するのは危険です。

  • 【原価率40%の攻め】:看板メニュー。集客の核となり、満足度を最大化する。
  • 【原価率20%の守り】:サイドメニューやドリンク。オペレーション負荷が低く、利益を支える。

大切なのは、店全体の「トータルコスト」で利益を残すという視点です。一皿ごとに思考を停止させるのではなく、「どの皿で感動させ、どの皿で店を存続させるか」を戦略的に分ける必要があります。

価格は「価値の証明」である

安売りは、最も安易で、最も残酷な戦略です。一度「安い店」として認識されると、価格を上げた瞬間に顧客は離れます。逆に、あなたの料理に込められた手間やストーリーが正しく価格に反映されていれば、それは顧客に対する「信頼」の証となります。

1. 「比較対象」を自ら作る

メニュー内に、あえて最高級の選択肢(アンカー)を置くことで、本当に売りたい看板メニューの価格に納得感を持たせることができます。

2. 「手間」を言語化する

「48時間煮込んだ」「市場で選りすぐった」という情報は、価格の正当性を担保します。説明のない値上げは裏切りですが、理由のある適正価格はブランドの矜持です。

勇気を持って「利益」を選ぶ

「美味しいものを作っていれば、利益は後からついてくる」
この言葉は半分正解で、半分は間違いです。利益がなければ、新しい機材を買うことも、スタッフの給与を上げることも、さらなる美食を追求することもできません。

値決めとは、あなたの技術を「安売りしない」という覚悟です。今夜、メニュー表を見返してください。その数字は、あなたが自分自身の価値を信じている証になっていますか?

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